ノウハウ(know how)の価値を考えよう

兄友「office365っていうの?を入れてたんだけど高いよね。聞くとOpenOfficeってのは安いらしいじゃん?お前でインストールできない?」

兄「ノウハウの価値に比べて割高だって思うなら、OpenOfficeに変えた方がいいかもね」

兄友「なに、そのノウハウって」

人が活動をすると、必ずノウハウが生まれます。

上司でこの人に近付くと無茶苦茶な仕事を回される、この人が昼御飯カップ麺食べてる時は嫁と喧嘩してるから近づかないほうがいいとか。

兄友「そのノウハウってのは高いのか?」

兄「ソフトの世界は特にこのノウハウがバカにできない。ソフトを作るノウハウじゃないよ、使うノウハウだよ」

兄友「使うノウハウ?」

兄「昔のソフトだとこのボタンを押して、このボタンを押して。そしたら計算するために5分くらい固まって、そこからこういう処理をしないといけない機能があったとする。それを、このボタンで計算せず直接その画面へいけるように変更した新規ソフトを作って提案した人がいるんだ」

兄友「効率上がるな」

兄「いや、効率は落ちた。そのソフトを使ってる人たちから聞くと、仕様書に載ってない機能があって、それを使うと一瞬で変わるらしい。その機能がリプレースで潰れちゃったんだね。話を聞くと、そのソフトを納品した人がデバッグ用に作った機能で、不具合が起きたときに使ってたのを『それどうやるんだ?』と聞き出したのが最初。そこから後輩に受け継がれて10年、もう引退している人に聞き出してようやく解ったとか」

兄友「……」

兄「余計なことをして効率を落として高い金を取りやがって、と言うクレームだけが残る」

兄友「でも、それは専用ソフトだからだろ。Office系だと違うんじゃないのか?」

兄「エクセルで通常のグラフを書くときは範囲列を指定するんだけど、系統を選択して貼り付けると一気にグラフが貼り変わるとか。Officeで使えるけど互換機には無い機能ってのが割とあって、それをノウハウとして蓄えている所だと効率が落ちる。Lotusや一太郎を使ってる人が謎な操作で資料を高速に作ったり、Vimや汎用機エディタであっという間に実現できていたことができなくなる。そういうのが出てくると不満の声も出てくるよ」

兄友「オープンオフィスでもそういうノウハウを蓄えられるだろ」

兄「蓄えられるけど、エクセル便利ワザとかは雑誌に乗るけどオープンオフィスの便利ワザとかは無いでしょ。雑誌もシェアを見て記事を決めるしさ。シェアがあるソフトを使わないって事は、そういう雑誌を趣味で買う人のノウハウは不要って事だよ」

妹「でも前に兄は私にオープンオフィス勧めてたよね」

兄「パーソナルユーズならオープンオフィスでいいと思ってるよ。3分の町内チラシに5分くらいかけても気にならないだろ。会社で使うならノウハウが蓄積しやすい純正Officeの方がいいと思うけど」

妹「……」